インタビュー オルフェ銀座の初心者向けバイオリン教室のこと

オルフェ銀座の初心者のためのバイオリンレッスン!

img_interview01姫野:西陣織バイオリンケースに引き続いて、わたくし、姫野が結月さんにバイオリン教室のことをお伺いします。

結月:姫野さんはクラシック、聴くんですか?

姫野:ごめんなさい! まったく聴いたことがなくて、バイオリンのことも全然知りません…!

結月:いいんですよ。だって、うちに来る生徒さんはみんな、バイオリンのことなんて知らない状態で来てますから。バイオリンを始めようと思っても、クラシックは聴いたことないっていうひとがほとんどです。

姫野:それでも弾けるようになるんですか?

結月:もちろん。バイオリンは弦の上に弓を乗せて、まっすぐ弾けば基本的に音が出るので。あとは指の押さえ方を覚えればいいだけです。

姫野:クラシックの素養がないと弾けないものだと思っていました。ところでオルフェ銀座のバイオリン教室は結月さんが教えているんですか?

結月:はい。わたしが教えています。楽器の構え方から弓の持ち方、バイオリンの本当に最初のことからわたしが教えます。

姫野:初心者対象というのはどういう理由ですか?

結月:やっぱり初心者ならではの喜びに関わりたいからでしょうね。つまり、何か新しいこと、今までの自分になかったものをこれから始めるっていうのは素晴らしいと思うし、始めることによってできなかったことができるようになる。そんな新鮮さが初心者にはあって、そういうのが好きなんですよ。

姫野:初めて音が出ると、きっとうれしいものでしょうね。

結月:それはうれしいですよ。だって、バイオリンを弾いてみたくてうちに来て、それが叶う一番最初の瞬間ですから。

姫野:そこからどんどん上手になっていくわけですね。

結月:楽器の構え方も知らなかったのに、今ではアマチュアオーケストラに入って交響曲を弾いているひともいますからね。こんなに成長したんだなって、それは教えるほうとしてもうれしいですよ。ゼロから築き上げた感動って、初心者でないとないものですから。

姫野:レッスンの内容も伺います。どのようなかたちでレッスンされているんですか?

結月:個人レッスンです。お友達同士ならふたり同時で教えている場合もありますが、個人レッスンが主ですね。

姫野:グループレッスンはやらない?

結月:バイオリンって、個人差がありますしね。楽譜を読める段階から始めるひととそうでないひと、自宅でもよく練習するひととそうでないひと、それから手の大きさもそれぞれなので、同時に何人も教えるのは無理です。バイオリンはそのひとに合ったやり方で個人レッスンで教えないと上達しません。初心者ならなおさらそうです。

姫野:確かに。

結月:まったくの最初からバイオリンを教えることって実は大変なんですよ。ある程度弾けるひとを教えるほうが楽でしょうね、指示したこともすぐに理解してくれるので。初心者相手だと教える先生のほうが根を上げてしまうという話も聞きます。その気持ちはわかりますね。だって、ドの音はこれですってところからですから。富士山を前にして、「さあっ!」って、靴紐の結び方からやらなければならないわけですよ、登山者でいうと。

姫野:でも結月さんはあえて、初心者を、しかも大人になってからバイオリンを始めたいひとを教える?

結月:バイオリンを楽しんでほしいという思い、そしてバイオリンを通して幸せになってほしいという思いがあるからです。この世の中なんて、バイオリンを楽しむくらいのことがないとやってらんないですよ。うちには社会人の方ばかりですが、日々の仕事でストレスがあったり、悩みがあったりします。だったら、それと正反対なことをやらないと人間はもたないですよ。

姫野:ウサ晴らしって感じですか?

結月:上質なウサ晴らしですかね。バイオリンはカラオケで絶叫することとは明らかに違った上質さがあります。つまり、美的な音を目指すという上質さでしょうか。美しさって無限大なんですよ。美しい音はどこまで追求しても終わりがない。だから楽しいし、ずっとやりたくなる。そして、その音は聴いているひとを幸せする。カラオケと大きく違うところはそこですよ。

姫野:なるほど! 今度からカラオケ行くの、やめます!

結月:まあ、そこまで極端にならなくていいですが、バイオリンを始めれば、カラオケに行くのは馬鹿らしくなるかもしれませんね。

いつでも自由に通えるバイオリンレッスン!

姫野:あとレッスンのことですが、皆さん、どれくらいの頻度で通われているんですか?

結月:そうですね、大体、週一回ペースか、月三回が多いでしょうか。月に一回だけというひともいますし、忘れた頃に電話がかかってきて、「明日、レッスンいいですか?」なんてひともいますよ。

姫野:結月さんとしてはレッスン回数を決めていないんですね。simg_1650

結月:はい。だって皆さん、社会人で仕事をしてますからね。仕事の都合だってあると思うので、自分のできるペースでやっていただければと考えてます。急いで何かを弾ける必要はないわけですし。そこがプロの奏者より純粋にバイオリンを楽しめるところです。

姫野:なるほど、自分のペースっていうのはいいですね。

結月:こちらが時間を決めて毎週何曜日の何時に来てくださいって、仕事をしてたら普通は無理ですよ。残業だってあるでしょうしね。だから、来られる日時でいつでも予約を入れられるようにしています。

姫野:あと、初心者は楽器はどうすればいいんですか? 持ってないですよね、皆さん?

結月:基本的にうちで買っていただいてます。ここは弦楽器専門店なので、一応…

姫野:あっ! そうでした! 失礼致しました!

結月:結構、そういうひと、多いんですよ。ここがサロン的ムードのせいか、専門店であることを忘れられるんですよ。

姫野:居心地よすぎて、忘れていました。

結月:一応、弦楽器専門店なので、わたしがこれならと選んだ初心者向けの楽器を用意しています。あと、楽器ってそれぞれで鳴り方が違うので、他所で買ってこられた楽器だと、わたしが求める音との相違があって、レッスンしにくいってところがあるんです。音の相性って大事ですから。

姫野:なるほど。

結月:あとはよくあるのが、通販やネットオークションなどで買われたものが、演奏をする最低限のコンディションにない場合なんです。バイオリンってきちんと作られ、きちんと調整されたものでないときちんと弾けませんから。指板と弦の高さだって、もし1mmも狂っていれば弾きにくくて演奏になりません。ところが売られている楽器がすべてちゃんとしたコンディションであるかと言えば、そうでないんです。悪質なものだと、買った値段よりも修理代のほうが高くなるってこともあれば、買い直したほうが早いよというケースもあります。

姫野:バイオリンってデリケートなんですね。

結月:初心者だとわからないからいいとか、まだ下手だからそれでいいですとかおっしゃるひともいます。でもちゃんとした楽器でないと上達はしませんし、悪い癖もついてしまう。そもそも弾けないコンディションの楽器では教えようがないんです。なので、初心者こそ、きっちりとしたバイオリンを持つべきです。値段が高いという意味ではなく。これからジョギングでトレーニングをしようとするひとが、サイズも合ってなくて、クオリティの低い靴底のシューズで走れば足を痛めたりして、いいことはないでしょう。それと同じですよ。なので、うちでバイオリンを始めたいという方は、まずわたしに相談してほしいです。わからないゆえに、変なものに手を出してほしくないので。

姫野:確かにそれはそうですね!

img_interview03結月:あとバイオリンは弓の毛が消耗品であったり、板を接着しているニカワが剥がれてくるとか、そういうこともありますね。なので、定期的に点検するのがいいんですが、わたしがレッスンしていると生徒さんの楽器はいつも見ていますから、異常があればすぐにわかります。軽症であればわたしがその場で直しますし、重症であればわたしから工房の職人に症状を伝え、しっかりと修理することもできますしね。

姫野:ちょうどメンテナンスのことをお伺いしようと思ってたところでした。

結月:ともかく個人レッスンなので、バイオリンの弾き方から楽器のメンテまでわたしがちゃんと見てますので、そこはご安心いただいていいです。

女性のためのバイオリン教室

姫野:ところで結月さんの教室は、女性限定なんですよね! それはどうしてなんでしょうか?

結月:まあ、わたしが女のひととのほうが相性がいいからですよ。それにわたしはバイオリンの他に着物の着付けも教えていますからね。着付けを習い終わった直後に男の生徒さんが低いヴォイスで「よろしくお願いします」なんて来ると、着付けの生徒さんも困惑して、ちょっとやりづらいですよ。

姫野:そうでした。結月さんは着付けの先生でもいらっしゃいました。

結月:なので、ここには姫野さんを含めて、業者さんくらいしか男性は入りませんよ。ですから、わたし自身、男性と喋ることってほとんどないんです。比率的には9:1くらいで、女性ばかりです。男性相手にこんなに話してるって、久しぶりなくらいですよ。

姫野:う~ん、ぼく、ここにいていいんですかね!?

結月:あとは女性と男性って、同じバイオリンでも捉え方も弾き方も違うので、教え方も違ってきます。女性にはわかることでも男性には通じないってことがあるし、その逆もありますよね。

姫野:そんなに違うものですか!?

結月:全然違いますね。ですから、女性だけのほうが教え方をシフトしなくていいし、わたしもそのほうが自然に教えられるので。また、年に2回ほど、生徒さんたちで合奏をやっています。それが女子会的なノリなので楽しいんですよ。年末は必ずクリスマス会を兼ねてやってますし。

姫野:男目線からすると、女同士って大変そうなイメージが…

結月:女性もそう言います。でも、それは会社とか組織とか、何かしらのしがらみや思惑がある場所でのことです。そうでなければ、女同士のほうが気楽ですよね。うちの教室に男性がいたら、女のひとは気を遣って盛り上がれないですよ。女性だけの自由さってありますよね。

姫野:確かに女子だけの楽しさもあると思います。

結月:なので、大人になってからバイオリンを始めたい女性の方たちが集まって楽しめる教室にしたいんですよね。仕事帰りにバイオリンを弾いたり、週末に銀座に来てレッスンをするのって素敵なことですよ。やっぱり、生きているうちにどれだけ楽しいことをやったのかって大事で、それが幸福度につながります。楽しさという潤いがないと、人間は生きていけないものです。

姫野:バイオリンを楽しみたいと思えば、すぐに始めることですね!

結月:まさしくその通りです。わたしも生徒さんと二重奏を弾くのが楽しいので、楽しさを共有できればお互い最高ですよ。それが音楽の魅力ですしね。バイオリンは難しく考える必要はまったくないので、興味を持ったら始めてほしいです。

(インタビュー・文 姫野哲)

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